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弟とアンドロイドと僕のmidoredのレビュー・感想・評価

弟とアンドロイドと僕(2020年製作の映画)
3.5
天才だがコミュニケーション能力のない大学教授がひとりでアンドロイドを作っているお話。豊川悦司主演の叙情SF映画。

ずっと雨が降っていて鬱陶しいし、アシモフの本を出すわりに有り得ない程なんちゃってSFだし、テンポもとろいし、そもそも妄想系少女小説みたいな話だし、一体何なんだコレはと思いつつ、気づいたら最後まで見ていました。悪くないです。

トヨエツがひたすらひとりで、大学とお屋敷めいた昭和の廃病院を往復しながら、モソモソとカレーライスを食べたり、溶かした石膏にブチュッと顔を突っ込んだり。

常に人との関わりは薄くて、ただ孤独に自分のプロジェクトを進めているだけ。なのに妙に癒されます。アンドロイドに首を触られてウットリしてるシーンなどは無駄に色っぽく、トヨエツを起用した理由はコレかと思いました。過去の傷を感じさせつつも、平和で官能的な孤独の風景に見えました。

本田博太郎が演じる同僚も面白くて楽しかった。君おかしいよ変だよと言ってる当人が愛すべき変人という。相変わらずうまい。特に好きなのは、記者会見で悲しそうにケンケンしている場面です。おせっかい焼くだけあって結構好きだったのかと思うと切ないです。

ヘンテコな映画ですが、心に残る作品です。
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