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親密な他人のsymaxのレビュー・感想・評価

親密な他人(2021年製作の映画)
3.4
"勝手に開けちゃダメって言ったのに…"

最愛の息子心平が行方知らずとなって丁度一年…

息子の帰りを願うシングルマザーの恵の前に現れた雄二は、心平が持っていた物を恵に手渡す…

訝しく思いながらも、雄二から心平の情報を聞き出そうとする恵は、雄二がネットカフェ難民であることを知り、雄二を自宅に招き、一緒に暮らすようになる…やがて恵と雄二は、親子とも恋人ともいえる微妙な関係となっていく…

キリキリとした緊張感が全編に漂う不思議なサスペンスというべきか、サイコホラーというべきか…兎に角、不思議な作風であります。

襖一枚で恵と雄二の微妙な関係性を描くと同時に二人の緊張をも表現しているようで見事な間の取り方と感じました。

邦画特有の湿度を持った"スティーヴン・キング的"な作品だなぁというのが私の印象…

やはり、恵を演じた黒沢あすかの存在感が大きいのでしょう。

黒沢あすかだからこそ、恵の危うさと淫靡さが絶妙なバランスで表現され、作品そのものがミステリアスな存在として成立しています。

ストーリー展開的には、割とあっさり結末は見えてきますが、ねっとりとした空気感に独特の間、そして設定がコロナ禍でもあり、登場人物の殆どがマスク姿であるにも関わらず、画面に映るその目力は半端ない上に、まるでドキュメンタリー作品かのような照明が観客に不安感を感じさせる。

緊張感あふれる物語は見応えがありました。

この作品については、全く知りませんでした。
劇場に貼られていたポスターで初めて知り、時間も丁度良く、なんとなく面白そうに思えたので鑑賞したのですが、終演後、なんと中村真夕監督と主演の黒沢あすかのトークショーが始まり、全く知らなかっただけに何だか得した気分…

映画に賭ける熱い想いを感じさせるお話でした。
黒沢さん、綺麗な方でした。
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