KnightsofOdessa

リコリス・ピザのKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

リコリス・ピザ(2021年製作の映画)
3.0
[] 60点

昨年末の新作追い込み時に、ちょうどジャパングリッシュいじりがキツイという記事を見かけて放置していたんだが、まぁPTA新作ということで流石に。舞台は1973年、オイルショックあたりのロサンゼルスで、主人公ゲイリーは子役として一財産築いた15歳のイタズラ坊主である。やたら商魂逞しく、イタズラ坊主で、女好きかつ女に好かれるという、一言で言えば両津勘吉である。ウォーターベッド事業が簡単に成功して、簡単に潰れていく感じも、こち亀感ある。これ1年で起こってるの流石に時間感覚ぶっ壊れてない?

ゲイリーがアラナをナンパする長回しオープニング以降、80分くらいは退屈なんだが、挿話の軸となる俳優が後半になると豪華になり、ショーン・ペン篇(横移動交錯)→ブラッドリー・クーパー篇(トラック逆走)→ベニー・サフディ篇(『タクシー・ドライバー』)と面白くなっていく。特にトラック逆走は無音で坂道を下りながら加速していくという修羅場の中で、アラナがゲイリーを脇にどけてサイドミラーを覗き、その場を制するという、大きな転換点となっていた。

それでも、ジャパングリッシュの話もそうだし、ゲイリーを嫉妬させるためとはいえ、おっさんの自慢話をウットリと聴くふりをしたり、別れ話に駆り出されたりとアラナがひたすら利用されているようにも見えて、ノイズは多めだった。だからこそ、トラック逆走→ヤバめのおっさんに説教という流れは完璧だったのに、結局元に戻っちゃうんだよな。調子のいいゲイリーくんは確かに嫌いにはなれないけども。なんだかずっと60点くらいの映画だった。
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