とりん

リコリス・ピザのとりんのレビュー・感想・評価

リコリス・ピザ(2021年製作の映画)
3.6
2022年68本目(映画館32本目)

本年度アカデミー賞にて作品、監督、脚本の3部門にノミネートしていた本作。
本作の監督はカンヌ、ベネチア、ベルリンの世界3大映画祭の全てで監督賞を受賞した経歴のあるポール・トーマス・アンダーソン。彼の作品は知っているものは多いが、何気に観たことはなく、恥ずかしながら本作で初めて彼の作品に触れることとなった。
「マグノリア」をはじめ、「ファントム・スレッド」、「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」など観てはいないものの一癖ある監督のイメージが勝手にあったから、予告とか見る感じ王道の青春ものかなとも思っていたが、設定なども含め捻ってる部分も多かった。
この辺りはさすがだなって思ったし、一見ありきたりな展開に思わせつつも、そういった部分で面白くさせてくれるし、いろんな要素も詰め込まれてた。それでも割とフラットな作品かなとは思ったけど。

ティーンと20代という歳の差恋愛の話ではあるけど、青春の甘酢っぽさも漂わせつつ、駆け抜ける感じが非常に良かった。実際走るシーンも多く、その爽快感も良かった。
でもやはり少し風変わりな設定というか子どもたちだけで事業起こしたり、そこに介入する絶妙な距離感のアラナが面白い立ち位置が良くて、中盤の嫉妬心からのやりとりとかが特に面白かった。
周りからしたら早よ付き合えよとか思ったり、観ている側も焦ったく感じる部分もあるかもしれないが、そういうのが10代というか青春ぽさがあるんだよな。だからこそ流行りに乗った事業を起こしたりするのにギャップもあったり。

雰囲気もすごく好みで、70年代が舞台なので当時の音楽とかもバンバン流れたりして、知ってる曲もあったり、そういう面でも楽しかったなぁ。
本作のヒロインであるアラナを演じたアラナ・ハイムは、アメリカの姉妹ロックバンドHaimのボーカル。もちろんバンドとしての彼女は知っていたし、Haimも聴くけど演技はどうなのって思ってたが、想像していたよりずっと良かった。しかも彼女だけでなく、バンドメンバーである姉妹が姉妹役でしっかり出演してるのも良かった。みんな揃ったときビックリしたけど。てかエンドロール見ると他にもHaim姓いたけど、まさか父母も実の父母?!笑 家族総出でしかも家族なのかな、そうだったら面白いなぁ。
脇を固める俳優にショーン・ペン、ブラッドリー・クーパー、トム・ウェイツという豪華面々がいたし、この役どころがめちゃくちゃクセ強くて、キャラ濃すぎて好きだったなぁ。個人的にブラッドリー・クーパーの役が好きでした。
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