あげちゃん

ダンサー・イン・ザ・ダーク 4Kデジタルリマスター版のあげちゃんのレビュー・感想・評価

4.2
鬼才ラース・フォン・トリアー監督のカンヌ国際映画祭パルムドール受賞作。
視力を失っていく先天性の病に侵された音楽を愛する移民の女性セルマは、愛する音楽と息子の目の治療のために必死で生活を送るが。。
アーティストのビョークが演じるミュージカル映画にして最凶の鬱映画。

[感想]
4Kリマスター化を機に2回目の鑑賞。
初めて観た学生の頃はセルマの行動に苛々とすることも多かったのだが余りの衝撃的な内容にずっと胸に残るものがあって、劇場へ足を運んだ。
初見から10年ほどたって社会人になった今、観た感想は当時から大きく変わった。
自分中心に回っていると思い込んでいた世界も社会に出てみるやコントロールのできない潮流の中に自分がいることを知って、この映画のやるせなさは身に染みるようになった。
自分ではどうにもできない状況がある。
さらにはこの映画の世界はもっと過酷なもので、200ドルぽっちも用意できない状況下ではもがいても何もできないだろう。

そんな窒息しそうなほど息苦しい中でも、絶えず溢れ出る子供への深い深い愛情には心をぐわんぐわん揺さぶられる。
嗚咽が洩れそうなほど泣いた。
バッドエンドとも言えるし、ある意味ではハッピーエンドとも言える。
複雑だ。
誰にも世界は優しくて救いがあってほしい。
あげちゃん

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