ブラウンソースハンバーグ師匠

ダンサー・イン・ザ・ダーク 4Kデジタルリマスター版のブラウンソースハンバーグ師匠のレビュー・感想・評価

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「奇跡の海」のように宗教上の信仰ではないから、考えを曲げないエネルギーの発生源が分からず、それが彼女を「怪物」のように恐ろしく感じてしまう由縁なのかと感じた。

親切な同僚は、上映中に「うるさい」と指摘する客に対して一度目は突っぱねるものの、二度目では音を出さずにセルマに内容を伝える方法を見出だしている。そのように多少なりとも「折れる」ことで、社会との間合いを取る。だけど、セルマは愚直とも言えるほどに真っ直ぐだ。衛宮士郎、竈門炭治郎ときて、二等辺三角形の頂点に君臨するのがセルマなのかも。

セルマが子供を作った理由が「自分の腕で抱きたかったから」。
このきわめて人間的な「エゴ」こそ、彼女が「人間」の形を保っている証明になっている。監督の描いてきた傲慢さを人間存在の肯定として用いている気がして身に染みた。

ちなみに、わたしの家から「107歩」を試したところ、近くのファミマにすらたどり着けませんでした。