春21号

ゴッドファーザーPART IIIの春21号のレビュー・感想・評価

ゴッドファーザーPART III(1990年製作の映画)
4.3
そして父にもなれなかった…

ヴィトーの頃からのファミリーの目的は合法化でした。半ば仕方なくアメリカで生きていくために違法なことをしての仕上がったという背景を考えるとアメリカ社会が産んだ被害者という側面もあのファミリーにはあってヴィトーは子供達にはそれを背負わせたくなかったと
それを受け継いだマイケルでもそれはかなわずこのパートⅢ中盤でその目的を諦めて引退モードに入ります。
マイケルも父と同じように終わるのか…と思ってからの最後

この諦めた先の地獄というのがまさに泣きっ面にハチでマイケルが背負った業を精算するためにはもう間に合わなかったということなんだろうなと
フレドの名前を叫んだり、教会で懺悔したり、反省し弱りきってるマイケルでも間に合わなかった…
ゴッドファーザーパートⅢは人がしたことは決して償いきれないというアンチキリストを感じます。

このパートⅢは決して過去を清算などできないという人生の偉大な教訓をマイケルの人生をもって教えてくれる名作だと思うのですがそれと同時に編集のもたつく感じや襲撃シーンのカッコ悪さ間抜けさが目立ちコッポラ自身のキレの無さも露呈していて評価が悪かったのも頷けます。
でも、それがマイケルの老いと重なる部分もあってそれさえもテーマに合ってる気もしてなんとも味わい深いラストだなと
これを観ないとサーガは完結しないと今この時代をもって言い切れる気がしますね

ソフィアコッポラの存在感も妙にリアルで
3代目ってあんな感じじゃないですか?
背負ってないというか二代目でやることやっちゃって悩みがないから能天気で金持ち独特の余裕があって、そういう無垢な存在感というのはこの物語にめちゃくちゃ重要であれはファミリーの良心そのものなんですよね、それが最後に…というのが映画の締めくくりとして最高じゃないですか

パートⅠパートⅡが物語としても映画としても素晴らしいのに対して本作は確かに映画としては落ちますが物語としてはこれ以上ない締めくくりだと思います。
というかこれほど出来のいいパートⅢって他にあったかな?シスの復讐とか?
まぁ、ファミリーとしての格緊張感がドンドン薄れてそれが嫌って人もいるけど僕はそれがリアルだなーとかんじてまぁそんなところです。
良かったです。
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