CharlieZG

母の聖戦/市民のCharlieZGのレビュー・感想・評価

母の聖戦/市民(2021年製作の映画)
3.5
娘を誘拐された母の執念の奪還物語。

これが実話というから恐ろしい。
2006年メキシコの麻薬戦争以来、殺人被害者35万人、行方不明者10万人!
もうこれは戦争犠牲者に匹敵する。
この国の警察は?政府は?一体何をやっているのか?
作中でも全く真剣に取り合わない警察の頼りなさが描かれている通りなのかもしれない。

今作モデルのミリアム・ロドリゲスに密着したドキュメンタリーを撮る予定だったところ、あまりにも撮影スタッフに危険が及ぶとの判断で中止、創作映画に切り替えたとのエピソードがある通り、日本では考えられないほどの治安の悪さのようだ。

身代金を払っても帰ってくる保証もなく、劇中に登場するギャングは未だ高校生くらいの子供、彼らが武器を持ち誘拐ビジネスに手を染めては用が終われば殺害するという、稚拙で短絡的な犯行が横行し、本当に何十体という遺体の出た “墓地” と呼ばれる空き地が実在するらしい。

今作では母シエロ役アルセリア・ラミレスの演技が演技とは思えないほど凄みがあって作品を引っ張っている。

エンディングの解釈にもよるが絶望しかなく、ただただ闇の中を彷徨うような作品。
メキシコの犯罪実情を知るにはちょうどいいのかもしれないが、決して楽しいものではない。
胸糞注意!


監督 テオドラ・アナ・ミハイ

キャスト
アルセリア・ラミレス
アルバロ・ゲレロ
アイエレン・ムソ
ホルヘ・A・ヒメネス
ダニエル・ガルシア
エリヒオ・メレンデス
アレッサンドラ・ゴーニ
バネサ・ブルシアガ
マヌエル・ビジェガス
デニッセ・アスピルクエタ
CharlieZG

CharlieZG