ユウト

母の聖戦/市民のユウトのレビュー・感想・評価

母の聖戦/市民(2021年製作の映画)
3.0
メキシコ北部の町。
シングルマザーのシエロがひとり娘である十代のラウラの誘拐を知り、探し闘う。
ってめちゃくちゃミシェル・フランコ監督が撮りそうな題材じゃんと調べたらプロデューサーだった。
本作はモデル(実話)があるのでミシェル・フランコ作品のように作家性を強く出せなかったのか。
やりきれなさの135分。
あのラストシーンでは観客である私は開放されなかった。

本作のような映画を観ると、作中悪人が語る『神』とは何かと、いつもわからなくなる。
全人類に共通する『神』を指しているのだろうか?
日本人は無宗教であるとされても神社仏閣は当たり前に周りにあり、キリスト教も新興宗教もカルト宗教も見え隠れする。
みんなが口にする神。
その中に悪魔は絶対いないのか?

日本人は性善説を信じている国民と言われ警察も透明性があるので常識では語れない本作のような(起こりうる日常)には泣き寝入りしかないのか。
主人公シエロが飼う爬虫類をシエロは殺せない。
生きた虫を爬虫類に食べさせるシエロ。
そのシーンのメタファーは何か。
ミシェル・フランコ脚本だったらブチかましていたぜ。

人の生命なんて金に替えてナンボの悪人が捕まる。
その母親がうちの息子を返してと泣き叫ぶ。
最悪な映画以上に、現実でもよく目にする場面。
人間はみんな勝手な生き物である。
ユウト

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