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母の聖戦/市民のらのレビュー・感想・評価

母の聖戦/市民(2021年製作の映画)
3.7
メキシコ麻薬カルテルの理不尽な暴力は、いまやあらゆるフィクションにおいて絶好のエンターテイメントの素材と化している部分もあるが、本作は綿密な調査を元に、まるでドキュメンタリーのような生々しさでその実態を描き出している。とはいえ、劇映画としてのパワーも失っておらず、観る者は主人公シエロの目線で物語に没頭することができる。本作は当初、ミリアム・ロドリゲス(本作の話の元になった実在の人物)に密着したドキュメンタリーとして企画されていたが、さまざまな危険や制約から断念したそう。『La Civil(市民)』という原題があまりに重く響く。
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