鑑賞中に既視感が生じまくるのは、先進国の同様のテーマを扱った作品にインスパイアされ過ぎているのが要因のような気がする。
フィリピンの政治の分かりやすい腐敗だけでなく、複雑で都市的な特性や人間性・市民性を炙り出していれば、もっと違う評価が出来たと思う。逆説的に言えば、登場人物のキャラクターが際立たない(誰が主人公だったのか印象に残りづらい)という事でもある。たぶん、序盤、中盤、終盤で誰にフォーカスして作品を観ればいいのか混乱した人が多いのではないだろうか。
はっきり言ってしまうと、コンペティション部門挑戦には、未だ早かった監督であると思ってしまった。