Omizu

Old Henry(原題)のOmizuのレビュー・感想・評価

Old Henry(原題)(2021年製作の映画)
4.0
【2021年ナショナル・ボード・オブ・レビュー インディペンデント映画トップ10】
京都ヒストリカ国際映画祭オンライン上映にて鑑賞。コーエン兄弟『オー・ブラザー!』『バスターのバラード』で知られるティム・ブレイク・ネルソン主演の西部劇。ヴェネツィア映画祭でプレミアされ、NBRのトップ10に入るなど高い評価を受けた作品。

農夫として息子とともに働くヘンリーは、ある日近くに倒れていた男を発見する。彼は自分が保安官で、ならず者に追われていると話すが、追ってきた男たちも保安官と名乗り引き渡しを要求する。果たしてどっちが正しいのか、そしてヘンリーの過去とは?

これは傑作。西部劇をそんなに観ているわけではないので、西部劇としてどうかは分からない。でも緊張感のあるストーリーテリングや終盤明かされる真実には驚かされ面白かった。

ヘンリーの過去が明らかになる終盤には「まじか!?」となったし、その後の一捻りにも驚いた。

父と息子の物語として大いに泣かされた。上手くいかないけどお互いを思う気持ちに感動。父の息子には同じ過ちを繰り返させたくないという想い、そして息子の銃も持たせてくれない凝り固まった父への反抗、どちらも分かるだけに苦しかった。それが結実し感動のエンディングを迎える頃には泣いていた。

セリフで説明しない描写も上手いし、西部劇としても絵は守りつつも独自の撮影をしたのも素晴らしい。冒頭の農作業、風に揺れる穂、床下の敵との攻防…忘れがたい。

息子役の俳優さんがなかなか美男子でよかった。これから活躍するんじゃないだろうか。

西部劇として、サスペンスとして、父と息子のヒューマンドラマとして高い水準にある作品。素晴らしかった。
Omizu

Omizu