八咫烏

奈落の翅の八咫烏のレビュー・感想・評価

奈落の翅(2021年製作の映画)
5.0
これはすごい。
コロナ禍で思っていたことを映画で表現していて感動。
コロナ禍で、行政からの強制、社会的な圧力によって閉塞感、孤立のただなかにある。そういった状況と、それ以前からあったスケートボード禁止のような公共性重視で不寛容で禁圧的な社会への批判とを融合させて、今の社会情勢を捉えた素晴らしい映画であった。

コロナ禍によって表出した生権力として権力。そしてそれを積極的に受容し、「生きならがえる」ことを最上の価値とし、あらゆる「生きながらえさせる」ための権力側の政策を墨守するだけでなく、自粛・マスク警察のような権力性を内部化する人まで現れた。
そして、生権力のもとで、我々は「生きながらえる」ことに最上の価値がある、ということに疑問を呈することさえタブー化された。
「生きながらえる」こと以上に「生きる」ことに価値はないのか?
今の快楽、熱情、衝動、友情を、今追い求めるときに「生きる」ことを感じる。その価値に重きを置くことはいけないのか?
そういった叫びを映画で表現してくれているように思った。これは自分がコロナ禍について考えていたことで、そのまさに奈落の底からの叫びはとても胸を揺さぶった。
素晴らしかった。
八咫烏

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