藍紺

マイスモールランドの藍紺のレビュー・感想・評価

マイスモールランド(2022年製作の映画)
4.1
日本で懸命に生きていたクルド人女子高生が在留資格を失ったことを境に、今まで当たり前にできていたことができなくなってしまう残酷な現実。こうして未来が、夢や希望が閉じられていくのか。サーリャが諦念の表情を浮かべるたびに胸が苦しくなった。
ほんとに無知で恥ずかしいが、難民申請の手続きの複雑さと理不尽さを初めて知った。そして入管(出入国在留管理庁)の過酷さ、映画で語られていたことや自分で調べたかぎりでは刑務所より劣悪な環境のようで、悪いことをしたわけではないのにどうしてこのような扱いを受けねばならないのかと怒りがこみ上げてきた。
私たちに何ができるのだろうと途方に暮れてしまうが、「しょうがないよね」とは言いたくない。知ることで始まることは決して少なくないと思う。

主演の嵐莉菜が本当に素晴らしい。普段はあまり感情を表に出さない女の子で難しい役どころだろうに、ちょっとしたしぐさや眼力にもサーリャの言葉にしない感情が宿っていた。彼女の良き理解者聡太を演じる奥平大兼もよかったー。寡黙な中にもしっかり想いが伝わる演技。

上映館が少なくなってて、平日の回、観客は私一人だった……(良い映画なのに残念!)。おかげでズビズビ鼻をすすりながら気にすることなく泣いてましたw
藍紺

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