Shin

マイスモールランドのShinのレビュー・感想・評価

マイスモールランド(2022年製作の映画)
4.6
是枝監督が率いる映像制作集団「万福」に在籍し、イギリス人の父と日本人の母を持つ川和田恵真監督の作品。

2015年頃に監督が、銃を手にISISに立ち向かうクルド人女性の姿をを見て衝撃を受けたことが撮ることになったきっかけとのこと。

『K2シモキタエキマエシネマ』で行われた上映後のQ&Aイベントで、僕が"きっかけ"について質問したところ、監督が答えてくれました。(後で気付いたけど、公式サイトで説明されてたし😅)

またキャストには実際に難民申請中のクルド人を出演させたかったけれど、彼らに危険が及ぶ可能性もあり、断念した経緯も話してくれました。

そんな中、主人公のサーリャを演じたのは、5ヶ国(日本、ドイツ、イラン、イラク、ロシア)のルーツを持つ嵐莉菜。ほぼ演技未経験ながら、監督と一心同体となり自身のアイデンティティを求める姿を好演していた。

難民申請中の人たちをそのままリアルに描くと、希望が全くなく暗い話になってしまうが。(日本のあまりに不条理な入管法のせいで) 女子高生サーリャの青春も描いている為、フィクションとしてバランスの取れたストーリーとなっている。

サーリャたち家族が、ラーメン店で食事をするシーンは微笑ましく、キャストたちも本当に笑っていたのが良かった。

終盤、サーリャが施設内で父親と対面するシーンは演技もさることながら、撮影スタッフの四宮さんの撮り方が抜群に素晴らしかった。(普通ならカット割りし、お互いの目線で撮るところを、サーリャに集中していた)

しかし、在留資格を失った難民は、仕事もできず、移動にも制限がかけらるとは。日本で飢え死にか、迫害を受ける母国に戻るかの選択はあまりに悲しい。この血も涙もない状況の中、生と死のはざまで懸命に生きる姿を17歳のサーリャの視点から描き、わずかな希望を見せてくらた本作は素晴らしかった。願わくはウクライナの人たち同様に、他の難民の方たちにも救いの手を差し伸べて欲しい。



最近、観たい映画がたくさんあるのに、時間が無くあまり行けずに悲しいです😆『メモリア』観たかったなあ。でも『リコリスピザ』と『エルヴィス』は見逃したくない。





Shin

Shin