ほんとうに素晴らしい「青春映画」。
日本社会の難民の問題を取り上げていて、印象的なマイクロアグレッションのシーンがあったりと、いわゆる“社会派”の作品でもあるのだが、僕はそれよりも素晴らしい「青春映画」だととらえた。
主役の女子高生とその相手役の２人の演技が素晴らしかったし、その２人を中心とする多くのショットの鮮烈さ、ちょっと陰影のある色彩感とか、いろいろ語れそうなんだけれど、ひとことで言えば、やっぱり「とても素晴らしい青春映画」だった。
そして、この映画には僕が「大きく心を揺さぶられたショット」がいくつもあった。
３つあげるなら、まず、主人公が相手役に自分の「秘密」を打ち明けるシーン。県境に架かる橋、見えない向こう岸、語り合う二人。このショットがほんとうに素晴らしかった。
次に、荒川の上流の河原へ電車で出かけていくシークエンス。前夜、車内、河原へと続く時間の中でのショットの連鎖によるカタルシス。
そして、主人公が荒川に架かる橋を自転車を漕いで（立ち漕ぎで）走りぬけるシーン（ショット）。
ほんとうに素晴らしかった。
