Ran

マイスモールランドのRanのレビュー・感想・評価

マイスモールランド(2022年製作の映画)
3.2
難民映画祭、クルド人について興味があって鑑賞してみた。
ミャンマーからの難民を取り上げた『僕の帰る場所』を思い出す。

トルコとの国交を良好に維持する為に難民指定が難しいというのは、分かる。
映画を踏まえてやりきれない気持ちにもなるし彼らに難民申請が下される事を期待する。しかし、現実問題全ての方々からの難民申請を全て受け入れる事が難しいという点を忘れてはいけない。鑑賞者はつい主人公側に肩入れしてしまうし、職員の人に腹を立てるだろう。でも、日本人の鑑賞者は日本が民主主義社会である以上、これらの結末は自分達の意思が関係していることだ、という意識を持つべきであり、また誰にでも難民認定をする事が是ではない事を考えるべきだと思った。
多分私が感じた違和感や偽善感はここにあると思う。この映画だけを見てクルド人を助けよう、彼らが可哀想という主張する事は正直薄っぺらいと感じてしまうからだ。

こうした社会派?の映画は芸術映画として需要するのは違うなと改めて感じる。プロパガンダを含んだものや隠喩的に問題提起してくるものはあれど、そうした映画とは違う。
その点を期待すると期待値にずれを感じてしまう。
でも、クルド人が抱える問題を知るには、少なくとも知るきっかけとなるには最適な映画。

演出的な側面に触れるのであれば、監督は当て役でもないけれど俳優から聞いたエピソード等を踏まえてエピソードに変更を加えたり台詞を変えたりという柔軟なディレクションは是枝監督からの系譜が伺える。
本当はワールドカップで日本を応援したかったというサーリャの思いは5つのルーツを持つ嵐莉菜が実際に感じた感情を元に、聡太が美大に行きたいという設定は奥平大兼が絵を描く事が好きだから加えられた台詞、設定だったようだ。
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