どうたく66

マイスモールランドのどうたく66のネタバレレビュー・内容・結末

マイスモールランド(2022年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

日本の移民政策で起きている非人権的な扱い、法律の隙間に落ちてしまった人達がどれだけひどい扱いを受けているか、それを知るため、または広めるために大変有意義なかつ勉強になるものだった。

クルド人難民として日本に子供を連れて訪れたがある日突然難民申請が却下される。日本は国連で難民条約を結んでいるので難民を受け入れなければならないはずなのに、入管をはじめとした日本政府は非人道的対応を行う。この映画は入管や日本の法律の批判は前面に出てこないが、日本の制度やマインドの問題が背後にあることは知っておくべきだろうと思う。

家族の設定もうまい。クルド人社会で日本語が話せる長女に負担が集中する。次女は日本人社会により溶け込み、クルド語が話せない。クルドコミュニティにも冷淡。お父さんは家父長的文化を色濃く背負って、日本で育った娘と溝が深まって行く。でも殴っちゃだめだよね。

お父さんは自分が強制送還されることでVISAが子供たちに発行される可能性があることを知る。で強制送還されることを選ぶ。戻ったら殺されるかもしれないのに。そもそもそんな取引バーターのようなことでVISAの発行が決定されることも行政手続きとしても人道的にもおかしい。

「クルド人出て行け」と叫んでいる日本人にぜひ観てほしい。またドレフェス事件やヒトラーのユダヤ人虐殺が今のガザ地区の問題へつながっている歴史を勉強して欲しい。ドレフェス事件当時のフランス人が「ユダヤ人出て行け」とやった歴史的な帰結がどんなものなのか一度勉強してからクルド人問題を考えてほしい。
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