ねぎおSTOPWAR

ザクロが遠吠えする頃のねぎおSTOPWARのレビュー・感想・評価

ザクロが遠吠えする頃(2021年製作の映画)
4.5
イラン🇮🇷のグラナーズ・ムサウィー監督。
オーストラリアとアフガニスタンの合作。2020のアカデミー外国語映画賞にオーストラリア代表としてノミネート。

オーストラリア軍の攻撃で10代前半の子供がふたり死んだというニュースが製作動機でカプールで撮影を始めたそうです。

****

実際この映画のために撮られたのではない映像が出てきます。
最後のニュースの映像と途中爆撃を受けた目線の映像。
この爆撃シーンは狙って撮影することは出来ないし、そんなCGを作る予算もないでしょう。・・とすれば有りものの衝撃的映像を映画に取り込む。
さすがに色味は寄せ切れずわかっちゃいますがね、でもその迫力たるや・・。息をのみました。


アフガンに入るには今でもパキスタンのペシャワルから行くのが一般的なんでしょうか。昔日本のテレビクルーが戦火のアフガンに入国しました。髭をたくわえ、現地人に見えるスタッフが選抜されて。そこに佐藤和孝さんもいた。ジャパンプレス代表の佐藤さん。シリアで襲撃され死亡した山本美香さんと言えば覚えていますよね。
今から30年くらい前のTBS新世界紀行。
音効さんはひょうきん族なども担当していた玉井実さんでした。
当時はウサマビンラディンの前。
それでもタリバンたちによって破壊された石仏を撮影するためにバーミヤン遺跡に向かったのでした。

・・・それから30年が過ぎ、事態は収まるどころか悪化する一方。
石仏よりも市民の生活。
あっけなく父が死ぬ世の中。
こんな小さな男の子がなぜ一家の大黒柱にならなくてはならないのか。
イスラムの男尊女卑の戒律は男の子も苦しめている。
仕事と言っても過酷な環境でわずかな収入。
そこに灯された希望の光は少年たちの未来を照らしたかに見えたが・・・。

宗教を憎んでも対立が激化するだけ。
武闘派は死んでも死んでも生まれてくる。
・・子供たちの安全な教育の場を確保したい。

オーストラリアを恨んでもそこには死と隣り合わせの軍人たち。彼らもまたやり場のない怒りを抱えながら生きている。
しかし、それにしても1万ドル(だったかな??)って・・・