けまろう

最後の渡り鳥たちのけまろうのネタバレレビュー・内容・結末

最後の渡り鳥たち(2021年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

『最後の渡り鳥たち』鑑賞。トルコメルシン地方で暮らす遊牧民ヨリュクに迫り来る定住化の波。これもグローバリズムによる文化の危機であろう。実際トルコで暮らしているジプシーは差別の対象である。その一方、サフランボルの近くには、ヨリュク村という観光地もある。(豆知識)
遊牧民として移動しながら生活を送るヨリュク族。母ギュリュシャは伝統を守り放浪することを望み、高地への移動を主張する。その一方、娘夫婦と夫は街での定住を夢見ており、トラクターの購入に向け羊を売り払ってしまう。激怒する母親。それに呆れ返る夫と息子。足の悪い夫は結局政府の用意した住居への引っ越しを決める。しかし、その居住地は水道代が高く、放牧も禁止されており、理想の生活とはかけ離れた生活であった。
口を開けば敵を作ってしまう強気な母ギュリュシャ。最後は孫娘と外から来た異文化に興味を示す教師とともに移動を試みる。見兼ねた娘夫婦が最後連れ立ち、皆でヤギやラクダを先導しながら行軍する様は切なくもあり、老い先短いギュリュシャの最後の旅路にも映る。
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