FranKa

アメリカから来た少女/アメリカン・ガールのFranKaのネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

本人の意思を超えたところで、台湾からアメリカへ、アメリカから台湾へ移動しなければならなかった姉妹と、その両親の衝突と葛藤、和解を描いた作品。

(1) 《家族》といっても、他人でもある。それぞれが、それぞれの意思を持っている。母親も、アメリカに残りたかったはずで、「こんなはずじゃなかった」という想いがある。娘たちは、自分の意思に反した移動が、母の病気のせいだと感じ、やりきれない。新天地での「適応」は、そんなに、簡単なものではない。

(2) 2000年代の台湾の教育のあり方を、20年後の今の視点でみると、胸が締めつけられる。体罰やアカハラまみれの教育環境で、教師が権威を振りかざす。そんななかでも、スピーチを薦めてくれるような、あたたかな教師もいる。学校とは、どういう場なのか、改めて考えさせられる作品でもある。

(3) 移動させられた子どもが、学校という父権的な場で、いかに自己肯定感を削がれるかが、描かれている。「アメリカン・ガール」として疎外される一方、英語の運用能力を羨ましがられたり、人格が両義的に勝手に「評価」される。そんな閉塞的な教育環境に対して、母親も、見えないところで闘っていた。
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