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County Lines(原題)のkazataのレビュー・感想・評価

County Lines(原題)(2019年製作の映画)
4.0
『キングスマン:ファースト・エージェント』公開に合わせて日本未公開のハリス・ディキンソン出演作を連続ウォッチ&レビュー第2弾!
(IMDbでもハリス君のクレジットがトップだから主演かと思ったら完全にサブキャラでした…)

貧乏なシングルマザー家庭でヤングケアラーでもある14歳の主人公少年が、地元の不良青年(=ハリス)に唆されて麻薬の運び人になっちゃったらもう大変……って感じの現代イギリスの闇を真摯に描いた、かなり"痛い"coming of age映画。
(大好きなエリック・ゾンカ監督作『さよならS』にも通じる"若気の至りが行き着く先のバイオレンス"描写の凄まじさと言ったら…)

(予告編公式↓)
https://youtu.be/kYcTPZpgrx0

元々は2017年の短編映画を長編にした(と言っても90分尺なのが良き!)本作。どことなく漂う"ケンローチ御大イズム"(=ドキュメンタリーチックな社会派テイスト+サッカーネタ)に加えて、主演のコンラッド・カーン君の佇まい&画面映え力が素晴らしくて……なんとなくデイン・デハーンっぽい雰囲気があるから、影のある役どころが似合いそうで今後の活躍に期待大。

(『Postcards from London』を字幕無しで見て己の英語力の弱さに意気消沈してたけど、本作は字幕無しでも意外とイケた=聞き取れたんで、己のリスニング能力の向上を感じられて意気揚々できました!…まぁ主人公が中学生だから、全体的にシンプルで分かりやすい表現になっているってことだろうけど…)

とあるシーンで、自宅の壁にかかっていた写真が床に落ちるんだけども、それが後になって主人公の写真だった…っていうのが分かったり、基本的なフード演出なんかもされていたりするから、雰囲気重視系と見せかけて意外と構成がちゃんとしている印象なのも良き!

(「行くところまで行っちゃった感=海」なのは『大人は判ってくれない』から脈々と継承されてきた"定番カット"だし…もちろんケン・ローチ御大の『SWEET SIXTEEN』も思い出せました)

「悪い大人の危険な仕事の誘いに乗っちゃダメ、絶対!」映画として、10代の内に必見かと。
(ハリス人気にあやかって日本公開or配信スルーの可能性はワンチャンありかな?)

ちなみに"トレスポ・イズム"を継承した汚いトイレもちゃんと登場します!笑
(ヤク中役の女優さんの演技がスゴい…)
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