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劇場版 おいしい給食 卒業のkuuのレビュー・感想・評価

劇場版 おいしい給食 卒業(2022年製作の映画)
3.9
『劇場版 おいしい給食 卒業』
製作年 2022年。上映時間 104分。
映倫区分 G
市原隼人主演の人気コメディドラマ『おいしい給食』の劇場版第2弾。
給食マニアの中学校教師・甘利田と宿敵である生徒・ゴウの長きにわたる給食バトルが、ゴウの卒業によって終局を迎えるまでを描く。
甘利田役の市原や宿敵・神野ゴウ役の佐藤大志、『3年B組金八先生』桜中学3年の加藤を演じたら直江喜一などテレビ版のメンバーに加え、エンタテインメント集団『BOYS AND MEN』の田村郁久、俳優としても活動するフリーアナウンサーの登坂淳一が新たに参加。

1986年、秋。
黍名子中学3年生の担任を務める甘利田幸男は、受験シーズン前にもかかわらず給食の献立表ばかりを気にしている。
学年主任の宗方早苗はそんな甘利田に呆れつつ、自身もある悩みを抱えていた。
ある日、給食メニューの改革が決まり、不穏な空気を感じた甘利田は給食を守るべく立ち上がるが……。

市原隼人演じる甘利田先生は前回よりもパワーアップしてイッチャッテル!☝️
間違いなくこのままのペースでパワーアップしたら甘利田先生は何かの事件を起こして逮捕されるに違いない笑。
パワー溢れる『給食愛』中学教師を描いた人気テレビドラマの劇場版第2弾。 
前作『おいしい給食 FINAL Battle』(2020年)がテレビドラマのシーズン1の完結編だったように、今作品はシーズン2のフィナーレを飾る。
主人公の数学教師を演じるのは、もちろん、この方、市原隼人。
今作品は阿房臭いが妙に先生の『給食愛』が共感できる熱い "給食バトル "ちゅう縦軸に、給食の危機をめぐる葛藤と女性教師との微妙な恋模様が絡み合う。
この構成では、2つの "劇場版 "はよく似ている。
細かいシチュエーションはまったく違いますが、シリーズのファンなら、前作を意識して観れば期待に応えてくれると思います。
受験をめぐるプロットは、生徒だけでなく教師にも思いがけない選択を迫る。
ラストシーンに漂うほろ苦い温かさは、ドラマを含めシリーズ随一かもしれない。
学校の先生も人の子、甘利田のように頭ん中はこないな妄想してるやつも少なくないのかな。
ある意味、甘利田のように偏愛に燃えてストレス発散せなやってられん職種なのかも。
淋しき先生たち。
でも、甘利田にはパワー溢れる『給食愛』がある寂しくなんかないはず笑。
甘利田はまた新たなバトルフィールドへと向かう。
甘利田と神野ゴウのバトルは相変わらず熱い。
『北斗の拳』で云うならばラオウ対トキの対決(決してケンシロウ対ラオウではない)、『キン肉マン』で云えばキン肉マンvsバッファローマン戦を観てるかのよう。
神野ゴウは強い。
こめかみから額に、蚯蚓みみずのような青筋をみなぎらし市原隼人の 『妄想暴走』は爆笑。
市原隼人がやるし笑いに拍車がかかる。
今作品は、前作シーズン1のような無邪気なバトルの連続だけではなかった。
終盤、バトルは決定的な展開を見せ、終盤に登場する『給食の王様』で、甘利太と神野はどんな景色を見るんか。
最後の最後に甘利田が神野に云いたかったこととは。。。
興味を持たれたなら是非本編で(映画の回し者ではありませんので悪しからず🙇)
二人の "戦友 "だけが知り得る本音と、未来をめぐる互いの理解にコメディながら目頭が熱くなった。
市原隼人にとって、『おいしい給食』シリーズは俳優人生を象徴する作品となったに違いない。
コミカルな役柄の掘り下げ、カリカチュアライズ(人や事物の欠点や弱点などをおもしろおかしく誇張、単純化して、風刺的に表現すること)された表情への挑戦、ダンスのような全身を使った楽しげな演技の習得に多くの時間を費やしたそうな。
彼にとって、そのどれもが今までにない経験であり、視聴者に受け入れられたことで、市原はさらに視野を広げることができるに違いないし応援したい。
2シーズン、2つの劇場版は、枠から解き放たれた人気俳優の実力と輝きを見る機会と云える。
今作品で際立った演技は、顔芸、身振り手振りで感情を表すげいなどもエエんやけど、それよか、生徒たちの列に並んで食事を出す甘利太の、一見何の変哲もない演技にあると個人的に思う。
自分の順番が待ちきれず、まだかなまだかなと列の先頭を目で追う市原の緊張感は(生徒にメガネを拭いてと頼まれても心は給食に)、この劇場版で毎シーズン見られる名演技と云える。コミカルを通り越して、頼もしく、美しい。
今回の劇場版では、給食センターの従業員役を2人の新しい俳優が演じていた。
一人はNHKのフリーアナウンサー、登坂淳一。
もう一人は『BOYS AND MEN』の田村侑久。
シーズン1の常節中体育教師役・辻本達規がおり、シーズン2以後の黍名子中体育教師役・勇翔がいた。
この2人に続く3人目の男性キャストの加入は、今シリーズのファンにとって歓迎すべきことだろう。
まさに "卒業 "の時がやってきた。
生徒も教師もそれぞれに旅立ちの時を迎える。
これが本当にフィナーレなんやろか。
いや、卒業がありゃ新学期もあるし、新たな甘利田のドラマが生まれるに違いない。
いや、生まれてほしいです笑
給食をこよなく愛する情熱的な教師の物語は、1980年代の古き良き時代にもあったのかもしれない。
個人的には銀シャリより麦シャリの方が好きだなぁ。


甘利田先生は『パワー溢れる給食愛』を持ってる。
小生も同じように食に関してはかなり貪欲。
"gourmet"食通、美食家をきどるほどではなく、庶民的なお食事に貪欲。
それが高じてお店のメニューを自宅で再現することが趣味の一つとなってる。
下手な料理ながら、道具だけは一丁前で、包丁(鋼の焼きが入ったもの)やフライパン(鉄鍋も使って育てた、今じゃ目玉焼きもくっつかない)も数本、比較的高級なモノを使ってて、包丁は砥石で研ぐことにも余念がなくしてる。
因みに砥石はシャプトン『刃の黒幕シリーズ/全10種』を主につかってます。
思えば、食に貪欲なのは小学生の頃の給食から片鱗を見せていたと今作品を見ていて思い出される。
故に、甘利田先生の偏愛に共感できるのかも知れないし、彼もきっと小生と同じように料理に足を踏み入れてるに違いないと妄想してる。
今作品を見ていて、何度と『あぁこれは旨そうだ』と生唾をのんだことか。
多分、鑑賞されたどの方より沢山の生唾をのんだに違いない。
と云うのも、小生はこのイカれた食への偏愛を断つべく、ダイエットなど必要のない体だと云うのに、今は食事は1200カロリーに摂取を控えている。
それが二ヶ月が経つ。
二ヶ月が経ったとて、食への貪欲さは消えない、情けない。
低いカロリーをいかに高タンパクで量を増やすかと、日々、熟考してしまってる。
全然、ストイックになれない、情けない。
例えば、毎日必ず食べてます豆腐。
ただ単に『き醤油』のみ(おろし生姜くらい)で食ってると、飽きてくる。
飽きてくるから食に対しての貪欲スイッチが入り、薬味を常に考えてしまう。
例えば、胡麻油を熱く熱した所に、刻みネギをぶちこみ軽く炒めて、軽く塩をフリフリ、その熱いのを、冷たい豆腐に一気にかけて食べる。
夏には意外に食が進む。
また、ある日は、市販のスパゲッティソース(個人的にはケチャップ系が好き)を豆腐にかけたりと、まるで甘利田VS神野ゴウのバトルのようにして、豆腐を倒してる、じゃない、食してます。
ブロッコリーも同じようにして食ってる。
思えば、小生も小学生の頃、給食にも同じように変化させて食っていた。
三つ子の魂百まで。
例えば、コッペパンはペッタンコにして端からクルクルと巻いて食べたら食感が変わる。
これは、同級生に流行らせた。
パン食の時にスライスチーズが出た日には泣けた。
何故なら、このスライスチーズをペッタンコのパンの上にのせ、クルクル巻く。
たまらない食感と軽いチーズの塩味、、、泪。
このように定型の食材を変化させることが楽しみであり、旨さがあった。
けど、現代は、そんなショボい変化をさせなくても、そのようなモノはもっと美味しいモノが市販で売ってる。
ガキの頃、ジャンクフードで流行らせた一つに、ポテトチップス(うす塩)に醤油を垂らして、撹拌して食べる、『ポテチ醤油味』を京都の市井で流行らしたが、今は期間限定でカルビーから『醤油味』が売られてる。
正直、市販の方が美味しいに違いない。
こんな感じで、社会には人の欲を満たすモノ(食も含め)は数多にある。
だから、今作品は80年代を舞台にしてるのは上手い!!と云わざるえない。
ただ、現代の飽食が始まったんは70年代後半。
故に、こないな食べ方も終焉を迎えた時期であると云えるし、その意味では、『おいしい給食』も卒業にちがいない。
こうした不便こそ、皆に役にたつのにと唾をハキハキするのも、ちゃうし、誰にでも当てはまることではないが、卑しく意地汚いが、そんな工夫こそが、少なくとも小生にとっては、今の仕事に役に立ってるのだと感謝している。
便利な時代、不便な時代どちらにも善き所、悪い所はある。
その時代の変わり目を舞台にした今作品は、何とも云えぬ思いが過りました。
kuu

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