ジャファル・パナヒの息子、パナー・パナヒによる初めての長編監督作品。
世界的に有名な監督の二世というプレッシャーはやはりあったらしい。
いくつか、おっと、急にどうした?みたいな演出があったけど、父親とは違う「俺の作品」にしたいが故の試みだったのかも。
広大な砂漠の一本道を走る車中には家族4人+1匹。なにやら陰鬱な表情を見せる長男に対して、父母はことさら大声で歌ったり軽口を叩いたりするのは、何も知らない次男(超パワフルな天才子役)に悟られぬためか、己の悲しみを紛らすためか。
家族がどこに何のために向かっているのか、その会話から想像するしかない。
当然、監督とのQ&Aには長男の事情に関する質問がなされたけれど、このような質問はイランの人からは出ないそうだ。なぜならそんなことは言わずもがなのことだから。若者が自国に未来を見出せないとはなんと悲しいことだろう。
何度も車とバイクを往復する母親の姿に、笑い泣き。
おねしょコレクションといい、一見厳しそうな彼女は実はめちゃくちゃファンキーだった。