木蘭

オーガズム・真理子の木蘭のレビュー・感想・評価

オーガズム・真理子(1985年製作の映画)
4.0
 男達の身勝手な暴力によって人喰い人魚のような怪物(殺人鬼)が生まれる話。

 この時代の空気の中でしか生まれない映画。
 絵画を具現化した様な映像や凝った音響は幻想的で、ヒロインの不安定な幼さと純粋さ強調した演出は、どこかノスタルジックで牧歌的だけど奇怪な大林宣彦の撮るアイドル映画みたい。
 一転、エロティックで暴力的なシーンでは、当時のJホラーやノワール映画の様な、コントラストが強めで清涼感のあるヒンヤリとした絵作りで美しく淫靡(隠れ家のセットは、ダリオ・アルジェントの影響も受けてる?)。ヒロインを演じる清里めぐみが立体的な身体なので、光を使った演出がまた効果的。
 そうかと思うと、濡れ場のシーンに成ると、まごう事なきロマンポルノに成るんだよな・・・。

 しかし、キャストもスタッフも実力のある人たちが集まっているので、破綻していないし、エロティックなホラー映画として海外の作品群と比べても完成度が高い。
 ジャンル映画として名作と呼んで良いのでは?
木蘭

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