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クナシリのmakoのレビュー・感想・評価

クナシリ(2019年製作の映画)
4.0
《北方領土・国後島。そこはまるで、取り残された島だった。》
80点

旧ソ連生まれフランス在住の監督が描く、知られざる国後島の真実。
ドキュメンタリーです。
この日は本作の後に、もう一本ドキュメンタリー映画を観ました。

戦前には四島全体で約17,000人いた日本人も、終戦後の1947年から48年にかけて強制退去が行われ現在は、日本人はいないし、立ち入ることもできない。
北海道からわずか16キロの近くて遠い島。

教科書でしか習ったことがなかったから、国後島が今どうなっているのか、知りたくて鑑賞しました。

まず驚いたのは、荒野が広がっていたこと。かつて日本人の住居があった場所は荒地になってて、見る影もない。
占拠されたから整地され、快適というか普通に暮らしているのかと思ったらそうでないことに驚いた。

土を掘ると欠けた茶碗が出てきたり、荒地に寺の石垣があったり、荒れ果てた墓地には土に埋もれた墓石などがあり、日本人が暮らした跡が残されていて、確かにここに日本人が住んでいたことが伺えた。

ロシア人住民の生活は苦しそうで、住民のインタビューは不満を口にする人が多かった(と言っても、住民のインタビューは数人だったけど)。
それどころか、日本人と共存すべきだ、日本人は器用で漁業は高水準だったという人もいて驚きました。

どこの国もそうだけど、国の偉い人達と一般市民の考えは乖離してるなと思いました。
島の住民の暮らしを観ていると棄民されているようにも感じました。

国後島の現状を知ることができ、観てよかったです。

旧ソ連(現ベラルーシ)出身で現在はフランスを拠点とするウラジーミル・コズロフ監督が、ロシア連邦保安庁の特別許可と国境警察の通行許可を得て撮影にこぎつけた。


観客 1階席 1人+?、2階席 3人
日本語字幕: 松永昌子
劇場鑑賞 #6
2022 #8
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