グッチー

METライブビューイング2021-22 マシュー・オーコイン「エウリディーチェ」のグッチーのレビュー・感想・評価

3.0
2021シーズン3作目。
MET初演の現代オペラ作品でした。

これまで、いくつかのオペラ作品が作られているオルフェオの神話をテーマにしつつも、これまでと違って妻のエウリディーチェにスポットを当てたところが面白いと思います。

自身の音楽の世界を生きるオルフェオに対し、妻の方は言葉の力を中心に生きている感じで、その対比が興味深く、言葉と記憶がテーマとなっている本作では手紙や本などの言葉でできたアイテムが重要なものとして出てくる感じでした。

また、神話でもお馴染みのオルフェオの神秘的な歌声については、カウンターテナー音楽の化身としてバリトンとの二重唱で歌うことで表現されており、そこも工夫があって面白いなぁと思いました。

あと、石の3人組とかハデスの衣装が、どことなく日本の特撮風で、これはある意味で日本文化の影響なのかなぁとか思いました笑

前半の浜辺のシーンはちょっと?って感じでしたが、後半の言葉と記憶をテーマにした展開はちょっと哲学的で、単純な恋愛劇で終わらないところが、まさに現代オペラ的だなぁと。

古典的な過去の作品に対し、新しい視点からチャレンジする本作のような意欲的な作品をこれからもMETで上演することで、新たな傑作が生まれてくると思うので、今後もこういう現代オペラをレパートリーに入れ続けてもらいたいと思います。
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