Kei

オッペンハイマーのKeiのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
3.8
公開日初回で鑑賞。
本作ではオッペンハイマーが原爆を日本に対して使用すること、したことへの葛藤が描かれていると聞いていたが、想像よりオッペンハイマーの心理描写は少なく、オッペンハイマーの私生活や赤狩り、また原爆開発までの比較的淡々とした開発工程の内容が主であった。
原爆投下前後におけるオッペンハイマーの心情がその変化も含めてより厚く描かれていればより良かったと思う。
また、作中では音楽が間髪なく流れストーリーが素早く展開するため内容に没入するという鑑賞体験を行うことは出来なかった。
加えて、音楽は原爆を主要なテーマとする映画にしては軽い印象を与えるものが多く、もう少し重厚感のある音楽だとより違和感なく聴くことが出来ると思った。
オスカーに関しては本作が作品賞、監督賞、主演男優賞、助演男優賞、作曲賞などを受賞しているが、本作を鑑賞して、作品賞、監督賞、主演男優賞、助演男優賞は『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』が、作曲賞は『哀れなるものたち』が受賞するのが妥当なのではないかと感じた。
総じて、オスカーの受賞や下馬評の高さもあり期待が非常に高かっただけにイマイチな点に目が留まったが、ストーリー、映像、音楽、演技等を含めた映画全体としてのある程度の完成度の高さやニューメキシコ州を映した映像の美しさ、また何より本作によって原爆の是非が世界でより活発に議論されるようになることが予想されるという作品の社会的意義の高さにより評価は3.8とした。
人物関係などは一度鑑賞しただけでは完璧には理解出来なかったため、機会があれば再鑑賞しようと思う。
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