瓶

オッペンハイマーの瓶のネタバレレビュー・内容・結末

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

崩れそうです
だれも悪くないしだれもが悪い 時代が悪いとしか言えない
好奇心のみで研究を行っていたのが、いつの間にか国家に操られてしまい、もはや「原爆の父 オッペンハイマー」という人物が空っぽの傀儡になるという むごいよ
関係ないと切り捨てられるのに、都合の悪いときだけおまえが研究しなきゃな〜と当て馬にされるオッペンハイマーさん ああ……

最後のアインシュタインの言葉が、自責する彼にとって救いになったのでは あなたは関係ないと言われ、でもあなたがやったことですよね?と問われ、結局は他人事にしたかったこの行動について、賞賛するのも批判するのもオッペンハイマーのためではなく、「する人」のために行われるのだと説くことで、はじめて他人事として着地できるという赦しや悟りにたどりつくことができるんだな……
自分で好きにやれる自由は苦しみを伴うというが、人間って自由があるから人間のやりがいがあるのではないか?自分という主体が無きものにされることが救いになるというの、本当に、本当に、むごいですよ ましてや、重罪を犯そうと思ってやったんではなく、最初は好奇心への探求でしかなかったものが!好奇心は人を殺すってこういうこと!?

特に強く印象に残ったシーンといえば、トリニティ実験ですよね!
あの実験って成功してよかったんか?という疑念が一生つきまとってくると確信してしまう恐ろしさ あの瞬間から、オッペンハイマーから見える世界が一変してしまった 人類が自らを滅ぼすことができるようになったという一変と掛かっていると思うんだ おれは
爆発の瞬間、無音になるからぞっとする そしてキリアン・マーフィの逡巡の表情が、ほんとにほんとにすごい…… こちらも「あっ……」と思わざるを得ないじゃん そんでしっかり爆発音あるんかい!
その後のスピーチとかもまたエグい 自分だけが取り残されている!足音バタバタ、大歓声、音のすべてがぜんぶ原爆の音に聞こえる なんなら泣き叫ぶような声もあって原爆投下で逃げ惑う市民を想起させる……
ここほんと涙が出そうで、でもあまりにも重い感情のほうが大きくて、なんかすごい感情になってしまった

というか、アメリカの原爆投下に対する感覚ってあんななんだなあと思った これ以上被害を拡大させないために最小限に留められたのでは!?ヒューー!!って感じなんだなあ まあたしかにあの頃の日本ってバーサーカー状態になっちゃってたしな…… いつも被害を引き受けるのは庶民……

おもしろかったシーン言ってもいいですか?尋問されるオッペンハイマーが急に真っ裸になってるところ(演出)

おじさんが多くて、だれが味方とかがごちゃっとしたまま終わってしまった もう一度観ることが確定しました
ノーランさん、時間で遊ぶのやめてください テネットでさんざんやったでしょ!?(笑)
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