あか

オッペンハイマーのあかのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
4.0
この映画に何を求めるかで、評価は分かれるだろう。

今まで数多の傑作を創り出したノーランの中では、明らかな特異的作品である。
ロジカルな理系的プロットに内包されたブンガクを楽しむノーランではなかった。

名俳優たちによるベスト級の演技が目立つ。
それらを引き出すノーランの演出と衣装やセットの作り込み、美麗な映像、モノクロとカラーの転換。
終始重たい映像な仕上がりはノーランの仕込みによって熟成されたビンテージ。

歴史を辿れる。
12人の怒れる男たちのようにスリリングで、会話量の多い古風な映画ぽさを感じる。
エログロ嫌いそうなノーランの限界の攻めを見れる。
オッペンハイマー博士の内面が主観的にジリジリと炙り出される。
伏線回収までの工夫を感じ取れる。
アッパレ。

ただ、上映時間が長いわりに人物関係整理や説明の難しさは変わらずといったところ。
見所である博士の内面や演技への集中の障壁となっていた。

また、原爆がもたらす人体への被害を示すシーンがあったが、綺麗に映しすぎていて非現実的。
この点に於いては、想定通りノーランの美的センスが悪い方向に作用している。

最後にロバート・ダウニー・Jrの演技は素晴らしかったと思うが、キャラとしての奥深さにやや欠けたと思う。まあ最強の引き立て役ってことなんだろうか。
(エミリーブラントやらピューの方が興味深いキャラだったと思う)
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