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オッペンハイマーのkgrのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
3.7
核や戦争がメインではなく、タイトルに偽り無しオッペンハイマーの物語だなと思った。皆様ご存知オッペンハイマー!の勢いで話が進むので、ご存知ない私はちょいちょい置いてけぼりをくらってしまった。無知な私が悪い。でも、振り落とされそうになりながらも楽しめた。特にラストが良すぎて心の中で転がり回った。そこの男達のクソデカ感情と関係性ッッッ!!!!と、転がり回っていい内容ではない気がするけれど、転がり回ってしまった。

核よりも人物にフォーカスするなら、あえてオッペンハイマーを選ばなくても、オリジナル映画を作ればよかったのでは?と思わなくもない。ノーラン監督はオリジナルが強いので。あと連ドラでじっくり描いてほしさもある。3時間は映画としては長すぎるけど、この物語はもっとじっくり描いてほしいという気持ち。


3/30追記
核の威力を理解して恐怖したり苦悩したりする人、これで戦争が終わると喜ぶ人、それよりも個人への憎悪と嫉妬に走る人…色々な人が出てきたけど結局直撃はしてない火事現場の対岸にいる人のあれそれこれは非常にグロテスクだと感じた。

私は核爆弾を落とされた日本の国民ではあるけど、実際体験した人間ではないので、せめて歴史に学び、圧倒的暴力に対して恐怖を抱き想像力を膨らませて、平和な道を歩いていきたいと思った。

ということを鑑賞後にぼんやりと考えたので、あえてオッペンハイマーという人を選んで映画にした意味はあったとも思うし、いやでもやっぱりオリジナル作ったほうがよかったではという気持ちも消えないのだった。

ところで、オッペンハイマー自体は真面目で誠実な映画だったと思うけど、大ヒットの結果核議論を呼ぶだけでなく、バーベンハイマーだのクソコラだの不謹慎な大はしゃぎも発生したので、この映画は人類には早すぎたのかとか、人間は愚かとか、なんとも皮肉だなと遠い目になった。
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