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オッペンハイマーのbrunoのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
4.5
見応えある秀作。オッペンハイマーとストロースと原爆と赤狩りの物語。3時系列の内の1959年公聴会の設定キャッチが少し難しかった。
日本でのSNS騒動が信じられないくらい、原爆の恐ろしさは十分に描かれていたと思う。実験成功を目のあたりにした者達でも、あれを人間の上に投下することを止められなかった/止めなかったことに唖然。トルーマン大統領が見たとしても同じだったのかな、沖縄戦ショックや対ソ戦略もあったろうしな、と。投下先がドイツだったらどうだったのかな、と。「威嚇のために日本近海の無人島に投下」でも十分だったはずなのに、多分、と。
科学/技術者にありがちな「作ったら使ってみたい」という性(さが)。
オッペンハイマーの「原爆の怖さを見せれば人類はそれを使わなくなる」という余りにも悲しく甘い思い込み。彼とストロースの、過ち・誤解等も含めた、人間臭さとその弱さ。
政治・時代の流れを作るのは人であるにも拘らず、それへの個々人の非力さ。
カラーでオッペンハイマー自身を、白黒でその他を、という描き方も秀悦。
最後の方で、公聴会でストロース反対票を投じたケネディに言及したのは何故かなと思ったら、後に核軍縮理念を掲げた同氏へのオマージュなのか、と。
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