Salt

オッペンハイマーのSaltのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
3.7
トリニティ実験を成功させたオッペンハイマーが一般市民に対し講演した際の演出がこの映画を象徴していた。
オッペンハイマーが人生で味わった名声と後悔、そして苦い名声は彼を一生苦しめ続けただろう。
一体それが誰の名声であるか分からなくなるほどに。

映画の軸はカラーとモノクロで分かれ、モノクロは絶望的だ。
冷戦下で加速する軍拡の勢いに抗おうとしたオッペンハイマーは非難の的となり、彼だけでなく、彼の妻、支持した科学者も彼ら自身のトラウマと戦うこととなった。
そして、マンハッタン計画の契機となったアインシュタインが本作品の中で主人公に寄り添う理解者として描かれていたのは非常にアイロニックだった。

映画の公聴会のシーンは少し冗長だった。集中を削がれたとしても、ラスト数分に注目してほしい。
ノーランが本作品を今の時代に作った意義が込められている。
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