えす

オッペンハイマーのえすのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
1.8
トリニティ実験における光の暴力性がカメラのフラッシュとなって、ロバート・ダウニー・Jr.に向けられるまでの180分。興味深い史実ではあるが、いくら時制を錯綜させ視点を切り替えようとも、それは無益な煩雑を重ねるだけであり、中々映画的興奮に繋がってこない。膨大な台詞量に『ソーシャル・ネットワーク』を想起したが、フィンチャーに比べ拙い情報処理が浮き彫りになる。内面の脆さ、葛藤を顔のアップ、原子イメージによるそれっぽいモンタージュで覆い隠している感覚すら。役者の表情に委ねたというより、小手先の誤魔化しでは。『TENET』は割と好意的に観ただけに悲しいけど、音響(だけ)は同じく圧倒される。
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