はるまき

オッペンハイマーのはるまきのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
4.0
「量子力学300年の集大成が大量破壊兵器なんて…」このセリフが1番重く、震えた。製作者側には良心の呵責があったのだと、ここまで思い悩んで兵器を作ったのだと知れたことにこの映画の意義がある。

また、この映画を米が作り、米の賞レースで受賞してたくさんの米国民が観てるという状況には、1945年から時代は進んでるんだなと感じた。なるべくたくさんの、できれば核や戦争に無関心な人にみてもらいたい映画だ。


ノーラン映画としては異色のドキュメンタリー調で進んでくので、正直過去作と比べると話の面白みは少ない。後半パートのダウニーJrの私怨吐露シーンなんかはダレてたなと思う。なんでそこを軸にストーリー展開進めたのかな。オッペンハイマーの苦悩を伝えたかったのかもしれないけど。


本作はセリフ以外に顔で物語る場面が多くて、本当に役者たちは凄いなと思い知らされた。キリアン・マーフィの顔は嫌というほど繰り返しドアップで映るんだけど、なんならセリフより多い情報量が顔に現れてた。


劇伴は相変わらず最高。最近はハンス・ジマーじゃなくてルドウィグさんが続いてるみたいだけど、ハンス・ジマーも帰ってきてほしいな。あの独特のブルブル音(伝われ)が、原子の揺れとかオッペンハイマーの心の揺れを表してて凄いなと。後半のジェイソンクラークが詰めまくるシーンではオッペンハイマーの感情が劇伴と表情のみで描かれてて天才的な画になってた。いやー映画はやっぱり音楽ありきなのよ。と思い知らされた。

長く描きすぎてるのはわかってるけどもう少し書いておきたい、、笑

キャスト陣も素晴らしかった。
フローレンスピューの唯一無二の美貌は健在で、もはや話題のAIビジュアルなんじゃないかと思うくらい綺麗だった。幻覚の情事見せつけシーン最高かよ。
ゲイリーオールドマン演じる時の大統領ハリートルーマンも良かったなあ。原爆を落として恨まれるのはこの私だ、お前なぞ誰も気にせんわ泣き虫みたいなシーンはもうゾクッとした。これが戦時下の国のトップかと。
マット・デイモン演じるグローヴスとオッペンハイマーの関係性もよかった。最初からずっとトゲトゲしてるけど、君に任せてよかったとか、後半のオッペンハイマー擁護とも取れるアクセス権の件は、良き戦友感出ててにんまり。ツンデレかよ。


初日にみれたので本当によかった。これだから映画はやめられない。なにより朝からオッペンハイマー見に来る人なんて本当に好きな人しかいないわけで、空気感とか何かと快適なんだよな。一発目の原爆実験のとき、爆音がやってくるんだけど本当に爆音で、隣の人と一緒にビクッてしてた。


この映画一撃のダメージがデカすぎてすぐにもっかいみようとはなれない。でもめちゃくちゃ登場人物も多いので、本筋知った上でみるのも絶対面白いだろうな。
はるまき

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