フクロウ

オッペンハイマーのフクロウのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
3.3
構成が、戦後の忠誠審査(赤狩り)からの回顧の形をとって入り組んでいる上、広島・長崎原爆投下後水爆開発による今以上の軍拡を懸念して対立したストローズ原子力委員会委員長の謀略の話や、公聴会の途中でオッペンハイマーが全裸になりセックスを始めるフラッシュバック・原爆祝賀講演で興奮する聴衆との温度差で音が聞こえなくなり視覚も原爆被害者の皮膚が剥げ、黒焦げになり、嘔吐している様の幻覚が見えるなど、ストーリー全体の把握がやや難しい。

科学理論と実践あるいは実践倫理、政治と科学、赤狩りと科学。これらディコトノミーをあらためて考える契機にはなった。プロメテウスの火を冒頭に持ってくるのは、コリンズ=ピンチ『解放されたゴーレム』含め、コンセプトはわかりやすい。あと、アインシュタインとオッペンハイマーのラストのあの会話。偉大な業績を挙げた人間は後続者には理解されず、叩かれる。

見るべきものはあった、あったが、そんな絶賛‼︎というような出来ではなかった。
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