◯面白くなさ
この映画には単純な面白さ、エンターテインメント性は無い。
これは、人殺しの道具を作った人の実話に基づく話を、さも面白そうにしてはいけない、というノーランの意思によるものだろう。
しかし、地獄絵図を想像していた自分にとっては少し物足りなかった。
実際には地獄だったのだから。
本作はオッペンハイマーが知らないことは出てこないので仕方ないか。
◯ジョン・フォン・ノイマン
「人間のふりをした悪魔」こと、ノイマンが出てこないのは残念。
本作で描かれる原爆開発とは、主に長崎に落としたプルトニウム型原爆である。それの起爆装置の複雑な設計、計算を行ったのが彼である。
まぁ、水爆の開発者エドワード・テラー、ノイマンが映画に出てきたら、さすがにオッペンハイマーが日影になってしまうか。
◯赤狩り
本作の後半は赤狩りの被害を受ける
このことは事實なので仕方無い。
しかし、それに苦しむ描写が少ないため、
原爆を開発したことに向き合う描写が少ない印象。
まあ、事実ベースでいうと、オッペンハイマーあまり、原爆の被害に無断着だったのかもしれないが。
◯目つき
天才だが、人として何か決定的なものが欠けている人間の目つきである。
「イミテーション・ゲーム」のベネディクトカンバーバッチもこの表情であった。
また、実在で存命の人物でいうと、庵野秀明。
ニコニコの川上量生は庵野のことを「殉教者の目」と評価。
また、庵野はリーダーシップがあり、コミュニケーションに長けた人間ではある。
しかし、(ガイナックスの人間なら誰しもが)誰しもが「彼は人として何かが足りない」と彼のことを評価していた。