Hasuki

オッペンハイマーのHasukiのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
5.0
公開日の翌日になってしまいましたがバイト終わりにレイトショーへ駆けつけました。
まず初見の感想として、これはアメリカ史と科学の知識を入れてから見るべきだったなと。自分の教養の足りなさが際立ち、圧倒的な衝撃をただただ享受することで精一杯だった。深みのある感想が語れないのがショック。そもそも私自身の、映画を見る前にはネタバレを一切見ず、予告もちらっとだけしか見ない、あるいはまったく見ず先入観を消して見るというポリシーがあるため、今回もほとんど情報を仕入れずに行ってしまったが、今回のオッペンハイマーに関しては予備知識がかなり必要だったため悔しかった。
ノーラン監督作品、最後まで鑑賞したのは実はこれが初めてで、現在インセプションの鑑賞途中だか、ノーラン監督作は言葉数が多く、設定も緻密で複雑なので体力を消耗するという印象。ロングのバイト終わりのレイトショーということもあり、意識が飛びそうになったのも悔しい。まじでまた見に行きます。これは悔しい。
さてさて問題のオッペンハイマーというキャラクターについてですが、ここからは、あくまでまだ知識を仕入れていない状態での感想なのでまた更新されるとは思うけど一応書き残しておこう。
オッペンハイマーという人物を断片的に知り、映画鑑賞前は「なんだかすごく賢くて凄い人」みたいなふわっとしたイメージを持っていた。しかし今作で描かれるオッペンハイマーというキャラクターは、賢いのは当然だが、カリスマ性があり、自分の信条に従い誠実な人間性を持つ一方で、曖昧で筋の通っていない不誠実さも含んでいた。しかし顕著に2面性を描いているというわけではなく、オッペンハイマーという人物の中にある「矛盾」を描いているのでは無いかと解釈した。抽象的な言葉ばかりで、建前ばかり並べているのに妙に説得力があり、人を引き込んでいく。しかしプロジェクトがいざ成功すると、そこに至るまでに見えていなかった爆弾の残酷さに感情を揺さぶられてしまう。後半のオッペンハイマーの没落のターンで質問攻めにされるが、彼の本心は彼自身も分かっていないのではないかと思った。誠実だけど不誠実。でもどちらも彼自身なのである。そういう「矛盾」の象徴に、量子力学がある。量子力学ときて、まあ私はせいぜい二重スリット実験くらいしか頭によぎらなかったけど、量子は粒子でもあり波でもあるっていうのは有名な話。二重性があるけどどちらも量子なんだよな。矛盾してるのに成立してるこの不可思議さがオッペンハイマーというキャラクターに反映されていてとても面白かった。
もう少し勉強してまた見に行きます。反省。でもやはり、勉強不足でも吸収できる部分が多かったし、映画的深みも感じたし、見て損のない映画だった。ちなみにパンフも買ったけど中身の記事がぎっしり読み応えありそうでしばらくは楽しめそう。やっぱりアメリカ史ガメインだったのでアメリカ人受けではあるけど日本ではどうだろうか。
Hasuki

Hasuki