気がついたら涙が出ていた。感動とかではなく、恐怖の気持ちから出る涙だ。
トリニティ作戦における点火シーンは、間違いなく広島と長崎への原爆投下のカウントダウンに繋がっていた。戦争によって科学技術が飛躍的に発展していくのは、いつの時代も変わらないし、人類は本当に愚かだと改めて思った。オッペンハイマーの「我は死なり、世界の破壊者なり」という台詞がそれらを全て語っている。
劇中、米国の勝利を讃える演説で初めて、オッペンハイマーが自分のしたことに罪の意識を感じ始めるシーンは、鳥肌が立った。自然と涙が出た。実に悍ましく、恐怖に満ちていた。音響効果によって被爆した人の無念な叫び声が聞こえてきた瞬間は吐き気がしたくらいだ。耐えられなかった。
作品が日本への被害を直接的ではなく、間接的に描いていた点に関して、私は賛成だ。むしろ東京大空襲のことなど、戦争における米国側の加害性を全面に表現していたことに驚いている。
とは言っても戦争自体、被害者側も加害者側も住んでいる国によって変わってくるのだが。
最後にノーラン監督がこの映画を制作してくれたことに感謝。私は日本人として、日本への原爆投下は今でも許せないし、核を保有する限り、人類は破滅への一歩を進んでいると思っている。本作はそんな我々人類への警告を含んでいるようにもみえる。
頼むからもう二度と核を落とさないでくれ。
