クリーム

オッペンハイマーのクリームのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
4.2
まず、やっぱりキリアン·マーフィーが素晴らしかったです***
原爆を扱う上で、広島·長崎を軽めに描いている点等、引っ掛かる人もいると思います。だけど、オッペンハイマーを通して、化学の才能に恵まれた者の苦悩や悪魔の兵器について考えさせられる良い作品だったと思いました。
展開も素晴らしく、そろそろ終わりかな?って思った所でもうひと盛り上がりある。この終盤がメチャクチャ良く出来てたと思います。また、音響の迫力が凄まじく、何度も心臓が止まりそうになりますが、この音響はメッセージだと感じました。
間違いなく凄い作品だと思います。

原子爆弾を開発したロバート·オッペンハイマーについての伝記映画です。
1954年。国家反逆罪の疑いで聴聞会に呼ばれたオッペンハイマーが、自身の過去を振り返ります。カラーをオッペンハイマー、モノクロをストローズの主観で描いています。



ネタバレ ↓
(内容が濃いので長いです。私のメモなのでスルーして下さい)


1942年、陸軍大佐グローヴスから原爆開発のマンハッタン計画を任され、ロスアラモスに優秀な科学者を集め開発を進めます。
1945年にドイツが降伏。科学者達は、原爆開発へ疑問を持ちます。オッペンハイマーは自分達は開発者で、実験で政府に核の恐ろしさを見せつけ、使用を思い止まらせる事が狙いだと言います。
トリニティ実験が行われ、オッペンハイマーは原爆投下の決定会議で核兵器の恐ろしさを訴えますが、戦争を終結させるという大義名分で広島·長崎へ投下されてしまいます。ラジオで原爆投下を聞いた彼は、幻覚を見るようになります。
また、水爆の登場を危惧し水爆開発に反対するようになり、彼は赤狩りで、公聴会にかけられます(ストローズは賛成派)。
1948年。アイソトープの輸出を巡ってオッペンハイマーとストローズが対立し、小馬鹿にしたような反論でストローズに恥をかかせました。
そして、今度は水爆開発を推進するストローズと対立。ストローズは、ロスアラモスにソ連のスパイがいたと疑います。戦後オッペンハイマーの妻、弟、元恋人が共産党員だった事もあり彼自身もソ連のスパイと疑われ、1954年に聴聞会が行われます。
オッペンハイマーのスパイ疑惑はボーデンがFBIに密告しました。実はボーデンに極秘情報を渡したのはストローズだった。
しかし、マンハッタン計画に参加したヒルが現れ、ストローズは商務長官にふさわしくないと言います。ヒルはストローズは、アイソトープ輸出に関する公聴会でバカにされた事を恨み、オッペンハイマーにスパイ容疑をかけたと多くの科学者が考えていると証言します。また、オッペンハイマーの聴聞会を担当した検察官ロブを指名したのもストローズだと暴露しました。
ストローズが何故、オッペンハイマーに恨みを持ったのか?
前出の話の他に1947年、2人が初めて会った日、オッペンハイマーが、アインシュタインに核の連鎖反応に成功したと思いますと伝えた事で、アインシュタインは、驚き、ショックを受けたので、ストローズが話しかけても気がつきませんでした。それを彼は自分が無視されたと思い、この事も恨みのきっかけになりました。
聴聞会で、オッペンハイマーが米国に忠誠のある市民である事は証明されたが、
共産党員との関わりが無い事は証明されず、公職追放の処分がされました。
雨の波紋が広がる池を見つめ、数多くの核ミサイルが発射される光景が見えるオッペンハイマーで終わります。

完成された原爆は、オッペンハイマーの手を離れ、政治家たちの決定により広島と長崎に投下されました。危険性を解っていても開発した事に非難の声はあると思うが、仮に彼が開発しなくても誰かが開発したであろう。開発者より投下の決定を下した方が罪は重い。何かを開発した者が責められれば、人類の進化は止まってしまう。答え等出ないが、考えさせられる良い作品だったと思います。
自伝なのに女好きな一面、元恋人が殺されたり、些細な恨みから発展した話だったり、飽きる事なく観賞出来ました。
次々出て来る豪華スターも大好きな役者ばかりで、ワクワクしました。一番驚いたのは、終盤ちょっとだけ出て来る副大統領役のゲイリー·オールドマン。贅沢なキャストでした。
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