nao22

オッペンハイマーのnao22のネタバレレビュー・内容・結末

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
4.4

このレビューはネタバレを含みます

重厚で疲れるが、観ることが出来て良かった。
やはりIMAXでプレミアムシートでもう一度没入して観て細部を理解したい。
ノーランの映画はいつもそうだし。

ソ連スパイの濡れ衣をきせられそうになっているオッペンハイマーが、機密情報へのアクセス権限についての更新審議会を通して語る「一生分の陳述」。

個人的な思惑の交錯とか、物理学への情熱とか、戦時下の国には勝つことへの歯車として利用されたこととか、どれほど賢くても完璧な人間ではなかった部分などを描いていたと思います。

オッペンハイマー自身が抱えていた人道的にどうなのかという疑問と、自身や仲間と積み上げてきた仕事への達成を望む気持ち、名声への欲望、戦争に勝つために必要な仕事だという葛藤の中で揺れながら、成し遂げた仕事は果たして正しかったのか。

現実で繰り広げられる審議会で魔女裁判に掛けられながら、独りで長年抱えてきた信念と後悔の重さを回想することで、原爆の父オッペンハイマーはどんな人間だったのかを観客に伝えてくる。

ラストは原爆を投下したアメリカ、作った学者たちも、世界を壊し過ちを犯したことに変わりはないということ。
ルイス・ストロースを通して描かれた、個人的な恨みをいつまでも抱えて争うことや相手を貶めようとすることが、如何にくだらないかというノーランの反戦メッセージなのだと感じました。

キリアン・マーフィーは様々な年代のオッペンハイマーを美しく演じ分け、おそらくインテリコミュ障だった彼を体型なども細かく彼らしさ作り上げて、魅力的に表現されてました。すごく良かった。

アカデミー賞授賞式でのロバートダウニーJrの言動は、ルイス・ストロースのキャラクターがそのまま残っていたかのようで、やはりピッタリの配役だったのかもしれませんね。
nao22

nao22