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オッペンハイマーのIKのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
4.3
時期が異なる2つの出来事(オッペンハイマーの聴聞会とストローズの公聴会)を基に、時間軸が前後するストーリーが3時間続くので混乱するかと思いきや、あくまでエンターテインメントなのでそれなりに理解や把握が出来るようにはなっている。
それでも登場人物は多く、専門用語・要素も少なくないので、パンフレット等で事前に情報は入れた方がわかりやすいかも。

そして主要人物だけでなく脇を固める人物も相当な有名どころをキャスティングしてて、キャラによっては出番は数分だけな贅沢っぷりにビックリしたし、それでもちゃんと各々魅せ場があるのも凄い。
あと「ご冗談でしょう、ファインマンさん」を昔読んだことがあったので、リチャード・ファインマンがボンゴ叩く姿を見た時は笑った。

なおこの映画は原子爆弾を生み出したオッペンハイマーの生涯を彼の主観で描かれたものであって、原爆の恐ろしさや悲惨さを描いたものではないという事は、念頭に置いた方が良い。

最初本編を観た時、原爆投下後の被害報告をスライドで観るシーンで「何でここで実際の被害の様子を出さないんだ」と不満に思った。
しかし今回改めて観直した所、この時オッペンハイマーはスライドから目を逸らして見ておらず、だからスライドを写さなかったのかと腑に落ちた。そして代わりに皮膚がただれる少女や黒焦げの死体などの幻覚を描写する事で、彼が持つ罪悪感を体感させられる。
そうした主観が生み出す一体感を全編フル活用しており、最後の最後まで容赦がない。
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