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オッペンハイマーのlanouvelleluneのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
3.9
人間及び人間の集団同士の競争の成れの果てを見た。科学、政治、社会生活、全てが競争。
全体の構造に限って言えば、自分の中のノーランワークスランキングの中でかなり上位に入る。
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人間ドラマである。戦争のしくみを説明するでも、戦争における善悪や倫理について説くでもなく、戦争に関わった人間の感情をかき集めた作品。なぜその感情に辿り着くのかを説明するために前者が覗くが、それはこの作品のポイントではない。
その、キャラクターたちが持つ主観の描写を繋ぎ合わせたともいえる形式を気に入った。事実らしい事実は殆ど顔を見せず、次から次へと主張が流れてくる。This is cinema. 後半のダイアログが特に良い。畳みかけが始まったところでキマった。
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あぁこういう風に表現することにしたんだ、と思わされるシーンが幾つもあった。いつもの「らしさ」を感じながらも、それ以外の手数の多さに敬服。
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アフレック弟の存在感が凄まじい。スクリーンに映った瞬間、準備しすぎだろうと。なんかバッチーンって聞こえた。目は勿論のこと、口の動かし方が怖い。
‘Manchester by the Sea’ で獲った時、プライベートで色々あったのが演技に吉と出たという意見が方々で上がっていたが、やっぱり単純に演技力が高いだけな気もするんだよな。
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「京都は文化的価値を持つからリストから除外しよう」というこれ以上ないほどアメリカンな発言。こういう底の浅さ、軽薄さから『人間とは』が見えたのが良かった。
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