第二次世界大戦終結の決め手となった原爆を生み出したロバート・オッペンハイマーの伝記的な話。
昨年のアメリカ公開時に多く言われていた、この映画が扱う原爆というものに関しては決して敗戦国日本を軽視するような内容は一切ないです。
ただ戦争を経験した方が身近にいる人にとっては苦しく感じられるかもしれない。
本作の前半は科学者としてのオッペンハイマーが新しい技術の成功を目指すことと、敵国ナチスドイツに先を越されて甚大な被害をもたらさないことを目指して多くの仲間と切磋琢磨する。
そして実験を成功し平和のための抑止力となるはずだった力がもたらした悲劇がトラウマとして襲いかかる。
大戦後の場面は特にオッペンハイマーの善悪の戦いが著しくて、一般市民やメディアは「原爆の父」という二つ名を付けたり英雄のような拍手喝采を送る一方でオッペンハイマー本人は自分の意に反して投下された爆弾で被爆した人間がどうなるのかが幻覚として現れる。
現実の外から結果を享受している者と、自ら手にかけた者の差が苦しい。
今回は初めて35mmフィルムの特別上映で鑑賞することができたのですが、レトロな感じの映像で味があり作品の雰囲気にもあっててすごく良かったです。
次があるのかもわからないし貴重な体験ができました。
映画オッペンハイマーを見る際は軽くでも予習することをオススメします。
情報量が多く話の展開も早いので知らない単語に対して自分の脳をストーリーに追いつけさせるのがかなり大変。
