2024.53本目
難しそうな内容だと思ったけどわかりやすくて誰でも理解できるように描かれてました。
本当にこの「オッペンハイマー」という男を撮りたかったんだなと。視点がオッピーから離れないから彼の葛藤や苦悩がダイレクトに伝わってきて苦しい。音楽も視覚効果も圧巻で息するのを忘れる。原爆のシーンは個人的に入れなくてよかったと思うな。視点を切り替えてしまったら一貫性が無くなる気がするし、その描写を入れろというのは日本人のエゴのように思ってしまう。
オッピーは天才だし確実に人として心に欠点があるんだけど、自分の研究開発がもたらした結果に「手が血塗られてしまったようだ」と嘆いたり水爆に反対したりと決して浮世離れしているようには見えなかった。生きた時代が違かったら彼はもっと違う功績で讃えられていたのかな。「物理学300年の歴史の集大成が核兵器でいいのか」というラービの言葉が切なく重く響く。
これだけ圧のある内容なのに、最後まで娯楽性に富んでるのがすごい。完璧なバランスでこの撮り方ができるのはノーランしかいないんじゃないか。
