Moeka

オッペンハイマーのMoekaのネタバレレビュー・内容・結末

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
3.3

このレビューはネタバレを含みます

▼初見の「面白かった」感想はそのままに、自分の中で思うことが増えたので追記します。

映画面白かったけど…
製作国がアメリカで、この内容で、この映画が「何を描いた」にしろ、「どういう影響を観客に及ぼすか、及ぼしてしまうか」に関しては、やはり無自覚なのでは…と考えてしまった。
ちょっとの間ロサンゼルスに留学していたことがあって、その時にも体感したけれど、今でも「原爆は仕方なくない?(悪いと思ってるけど)」というか、そもそもどういうことだったのか全く分かっていない、という人が多いのは体感した。おそらく第二次よりベトナム戦争の方が国として強烈な歴史としてとらえてるんじゃないかって。
それでいて、「バーベンハイマー」ですよ。個人的には、とんでもないものを作り出してしまった科学者の半生と反省を描くのはめちゃくちゃ興味深いけど、じゃあそれを描いて、核兵器の地獄の土壌がない人たちにどう受け止められるか?どういう影響を及ぼしてしまうか?ということについては、ちょっと考えが浅いんではと思ったところ。映画は怖い。

犠牲になった人々の、壮絶なご遺体や怪我の様子を全部再現した方がいいとは言わないよ…でも、人間は、人間が作り出した地獄の結果は、結果の地獄絵図はやっぱりどういったことなのか、目で見なくてはいけないんじゃないでしょうか。「怖い!最悪」を思わなくてはいけないんじゃないでしょうか。皮膚がむけ、血まみれになり、黒焦げになる、「殺人」「殺戮」の負の歴史と光景は、どうしても、二度と繰り返さないために、知る必要はあるのではないでしょうか。
また編集したり追記するかも。


↓初見時ののんきな感想

面白かった。
理論先行で実験はできないし
知り合いの女はしょっちゅう寝とるし
そのくせ最初の女に執着しまくりで、各地各時代にいるダメンズを煮詰めたかのような、オッピーw
軍服着て、みてみて〜!じゃねえよ!世間知らずだな、、、
という、ダメダメな(おそらく)天才科学者のひとりの男の人物像が強調されていた。
だれけども、「原爆の父」というアイコンになった、なってしまったオッペンハイマー。

冒頭の方、原子がワァーとなる感じ(伝われ)数式を書き殴り、研究してるとことかは、すごい楽しかったんだろうなって思った。風立ちぬの、頭ん中で飛行機がぶうぁっとめくられる、夢のようなところを想起。
事実は、たくさんの人が苦しめられ亡くなったということだけだ。彼は分からなかったんだろう。傲慢で、無関心だったんだろう。「我は死なり」なんて言えるくらいナルシスティックだったんだろう
とてもつらい。

ノーランの映画には個人的に共感する。なぜかというと、ごちゃ混ぜな時系列…夢も妄想も現実も、まるで同じことのように画面に現れるからだ。過去のことは遡るものではなく、今も、同じ現実としてここに存在している。私/僕の世界ではそうなのだ。
Moeka

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