タクテル

オッペンハイマーのタクテルのネタバレレビュー・内容・結末

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
4.9

このレビューはネタバレを含みます

2024年26本目。

原爆の父として知られる物理学者の伝記。

IMAXにて鑑賞。
前半は戦争に向けて米国中の権威が集結し、核爆弾を完成させるまでの過程を描いている。作っている物を度外視すれば、科学者達が議論を重ねながら一つの物を完成させるロードムービーだが、問題なのは作っているのが大量の人の命を奪う兵器「原爆」である点である。
具体的な爆発の描写は最後の実験まで表現されることはないが、計算結果による爆発の規模やどういう被害が出るのかが語られていき、完成が近づくにつれ見ている自分も恐れからか鳥肌が立っていた。

そして最後のトリニティ実験では爆発の描写が描かれることになる。カウントダウンが始まり、それが0となって原爆が爆発するのだが、最初は音がなく光と炎によって規模が表現される。その後、爆発音が鳴り響くのだが、その2段階の表現でより一層凄まじい兵器であることを感じ取ることが出来た。

その後、オッペンハイマーの手から原爆が離れるのだが、製作者として脅威を十分に知っている分使用されることへの葛藤が描かれることで先程の実験と合わせて凄まじい兵器であることが伝わってきた。

原爆使用後は人によってはかなり不快感を感じる人も多いだろうなと感じたし、自分も実際見ていて苦しくなったが、原爆が日本に落とされたことで結果的に戦争は終了し、アメリカの兵士は帰還することにつながるので喜びを露わにし、オッペンハイマーは英雄として扱われることになるのだが、被爆国である日本側からみるとやはり実際に落とされた状況を考えると、複雑な心境となった。
それはオッペンハイマーも同様で英雄として扱われ、人前では戦争が終了したことを喜ぶ反面罪悪感に苦しまれている様子が伝わってきて、その思いがクライマックスのあの一言に繋がってきているのかなと感じた。

鑑賞してみて映画としての完成度、題材としたテーマ、役者の演技どれをとっても凄く、鑑賞後も深く考えさせられるような作品であり、アカデミー賞を獲ったことも頷ける作品であった。

ただ一点、今作は2つの時系列を軸に話が進み、登場人物もかなり多いので事前知識もしくは鑑賞後に実際に起きたことを調べるとより一層理解が深まるのかなと感じた。
私も鑑賞後に実際に起きたことをこれから調べてみようと思っている。
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