しいちゃろす

オッペンハイマーのしいちゃろすのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
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映画を見ながら自分の感情の行き場が分からなくなったのは初めて。
実験成功や原爆投下のシーンは、スクリーンの中のアメリカ人達は歓喜していて、それを見て白けてしまうというか恐ろしく思う自分がいて、自分が日本人だと思い知った。日本人だからこんな気持ちになるんだ。
当たり前だけど、これらのシーンは見る人の国籍によって見え方が異なるんだろうな。そう思ったら、そりゃあ世界から戦争は無くならないよなと実感した。

正義の敵はいつだって別の正義、なので。


作品の技術面としては、とにかくHSPな私には音が脅威すぎた。けど、それくらいの衝撃というか怖さというか嫌悪感が必要な作品だと理解できるから、そこも含めるとやっぱりノーランは天才。まさかの無音の続いたシーンも、自分の心臓の方がバクバクしてた。それさえ想定されてたのかと思う。

改めて作品を通して考えることは、
ちゃんと知らないといけない、ということ。特に日本人は歴史や政治に興味、関心を持たない人が他国より多いと思う。自分の住んでる町が昔何だったのかも興味がない、不思議な国民性。
そりゃ経済もこうなるだろうし、今や戦争だって他人事じゃなくなってる。

個人的にアメリカは日本に心を許していないと思うし、建て前な部分が多いと思う。植民地化されなかっただけマシだった。だけど日本だって被害者ぶるだけではいけないと思う。真珠湾のことや、バターン死の行進のことを、ちゃんと知っておかないといけない。あのヒトラーのナチス・ドイツと同盟国だったことすら知らずにヒトラーを非難してる日本人は多いと思う。

そういう無知が、戦争反対ばかり唱えているのが一番恐ろしい。

とはいえ、やっぱり日本が第二次世界大戦に負けなかった帝国としての未来を想像すると、決して明るくもないのかなとか思う。複雑。

過ちを繰り返さないために、
自分たちの過ちを知らないといけない。