ウォーターライブラリー

オッペンハイマーのウォーターライブラリーのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
3.2
この映画の意義の一つは、原爆の爆発と音の非同時性を描写した点にあるように思われる。つまり最初に爆発が遠くで起こり、その後に風と音がたどり着く。この距離感というのを原爆の描写に用いることにより、単なるキノコ雲のイメージから、爆発の一つのイメージへ接近させることに成功している。

しかし、それは単なる実験としか描かれない。広島や長崎の死者とは結びつかない。たとえ伝記的映画として主観性が重視されるのであれ、その点は道徳的にいくらでも批判できるだろう。