7N3

オッペンハイマーの7N3のレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
4.3
科学者に「なぜリスクがあるのに証明したいのか」と問うことは、登山家に「なぜ山に登るのか」と問うほどの愚行なのだろうか?


トリニティ実験が成功し、大きなきのこ雲が昇る空を見上げたラスアラモスの人々が歓喜し笑う様子と反比例するかのように、スクリーンを見つめるわたしの目からは静かに涙が溢れ、彼らの笑顔が…悲しかった。

その体験はわたしとしてはとても意外でびっくりしたけど、きっと日本人としては自然な感情で、同時に安堵したのだった。

科学者としてあくなき探究を続けたこと。
祖国を愛する者として、ソ連よりも先に原爆を完成させなければと己を鼓舞し続けたこと。
それらは今となれば正義とは言い難いと思うけれど、人間の歴史には常に「たられば」と過去からの学習がつきもので、当時としては、、もしかしたら。

もしかしたら、それしかなかったのかもしれない。
そう思いたくはないけれど、もしあの時代あの情勢の最中に、自分も生きていて日本人じゃなかったらと考えると……


そしてただひとつ。
オッペンハイマーが、自分の成し遂げたことの罪悪感と幻覚に苛まれ、水爆へ反対したこと。
それだけは人として正しいと感じた。





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大好きなノーラン!
大好きなキリアンマーフィー!
最高でした。
ノーラン映画の常連だった最推しのキリアンがついに主役と知ったとき、本当におめでとうありがとうでした。
ずっと推してたけど、なかなか主役で大ヒットすることはなかったので寂しかったから本当に嬉しい。おめでとうキリアン。

ノーランは音で緊張感を煽る上手さが天下一品だと思ってるけど、今回はその"音"自体が伏線になっていて面白かった。
そしてカラーとモノクロに分ける表現も、オッペンハイマーの幻覚の表現も、素晴らしかった。
彼もまた、映画へのあくなき探究が尽きないですね!
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